催眠療法(ヒプノセラピー)
催眠療法(ヒプノセラピー)は、催眠という特殊な意識状態に導くことによって、潜在意識にダイレクトにアクセスする方法です。催眠とは、「非常に暗示が入りやすい、注意が集中した状態」です。
覚醒状態(通常の意識状態)で、潜在意識に直接暗示をかけることは難しいとされています。それは、心のセキュリティシステムが働くためです。
心のセキュリティシステムは、新しい情報を、過去の自分の経験や、観念と照らし合わせて、自分にその情報がふさわしいかどうかを判断します。つまり、このセキュリティシステムによって、心や体が守られているというわけです。しかし、このセキュリティシステムは、時に間違った判断を下すこともあります。
例えば、過去の苦い経験、失敗などがきっかけとなり、似たような状況になると過剰に恐怖心を抱くことなどは、その典型といえます。
この場合、どんなに自分にとって正しくて、望ましい情報であっても、覚醒状態(通常の意識状態)では、素直に暗示が入っていきません。そこで、催眠状態を技術的に作り出し、潜在意識に直接働きかけようとするわけです。
この方法は、願望達成のための催眠誘導などに使われています。
また、催眠状態では、暗示が入りやすいだけでなく、過去に起こった出来事をありありと再体験することができます。
そして、現在の自分から見て、その出来事は、本当に自分にとって重要な意味を持っていたのかどうかを、見直すことができます。あるいは、もしやり直せるとしたら、どのように対処したかったのかを再体験することで、イメージをポジティブに捉えなおすきっかけとなります。この方法は、退行催眠として使われています。
ただし、あまりに深いトラウマ(心の傷)や、クライアントの精神状態によっては、催眠療法を施術すること自体難しい場合もあり、施術には慎重な判断が必要です。